女性の尿もれ・頻尿は“産婦人科”だった!?女性のヘルスケアに深く関わるウロギネコロジー

 

 

こんにちは。めいたろ(@kusurino_ouchi)です。

 

今回は、女性のおシモの悩みについて。
具体的には、尿もれ、頻尿、膀胱炎、骨盤臓器脱など、様々なものがあります。

 

排尿の問題というと、頻尿器科の領域だと思われがちですが、実は妊娠や出産、子宮筋腫などの婦人科疾患が排尿の不具合に深く関わっているんです。

 

 

 

ウロギネコロジーとは?

 

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ウロギネコロジー(Urogynecology)とは、ウロ(Urology:泌尿器科)、ギネ(Gynecology:婦人科)を合わせた造語で、欧米では女性特有の骨盤底と膀胱・尿道のトラブルに取り組む、泌尿器科産婦人科の境界領域にある病気に関する専門領域として認知されています。

 

いま、人口の高齢化と出産年齢の上昇により、女性骨盤底医学へのニーズが増大しており、産婦人科の流れを組むウロゴキネコロジー専門医と泌尿器科科出身の女性泌尿科科専門医が協力しあってこの専門領域を運営していす

 

 

女性に骨盤底トラブルが多いワケ

 

そもそも「骨盤底」とは?

骨盤底は、漢字のまま骨盤の底にあたる部分を指します。筋肉や線維組織でできていて、恥骨から尾てい骨に至る領域に張り巡らされています。

 

骨盤の内部には、前方より膀胱と尿道、その後ろに子宮と膣、いちばんうしろに直腸と肛門、という順で骨盤臓器が並んでいます。これらの臓器は、骨盤底によって正しい位置に保持されているのです。つまり、骨盤底には、骨盤内部の臓器を支えるという大切な役割かがあるのです。

 

 

男女でちがう“骨盤”

 

骨盤と骨盤底は、働きもつくりも男性と女性とで異なっています。


女性の骨盤には子宮があり、骨盤底を膣が貫いていま。骨盤底や排尿関係のトラブルは、男性よりも女性に圧倒的に多く、これは女性が骨盤、骨盤底を使って子供を産むためです。

 

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女性は出産により、骨盤底の支持組織や、膣に接する臓器や神経などが、強い力や圧迫による血流不足などにより傷ついてしまうと、骨盤底の筋肉や膜の損傷、膀胱や尿道肛門などの臓器の低下につながってしまう場合もあります。

 

20~30代の女性は身体機能に十分な予備力があり、骨盤底の損傷や臓器の機能は出産から時間がたつとある程度回復します。なので、出産後に生活に支障が出るような不具合は残りません。しかし、閉経にさしかかり、筋肉の衰えや臓器機能の低下が加わると、骨盤底の違和感や尿漏れ、頻尿などが問題化します。

 

65歳より若い年齢層では、骨盤底のトラブルで受診する女性の95%以上は出産したことのある女性なのです。

 

 

腹圧性尿失禁とは?

 

骨盤底のトラブルのうち、もっとも多いのは尿もれ腹圧性尿失禁です。妊娠中の尿もれは出産後いったん収まりますが、出産したことによって、その後5年~10年とたつあいだに、多くの女性が尿もれしやすくなってきます。

 

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この場合の尿もれは、ほとんどが腹圧性尿失禁で、走ったり、くしゃみをしたりなど、日常生活でお腹に力が入ったときに少しずつ尿が漏れるものです。尿道の内圧が足りなかったり、膀胱や神経系の問題で膀胱の収縮力が足りないなどの条件が関与しています。

 

尿もれや排尿後の尿のしたたりがあると、膣や外陰部が悪臭を放ち、皮膚や粘膜がただれて、乾燥感、かゆみなどの問題が出てきます。40歳代からの膣と外陰部の皮膚や粘膜トラブルは、閉経後性器尿路症候群と呼ばれ、多くの女性のQOLを低下させる原因として注目されています。

 

女性ヘルスケアの観点では、骨盤底や排尿の問題を診察するときには、この閉経後性器尿路症候群も忘れてはいけません。

 

 

骨盤底の損傷を防ぐ

 

妊娠・出産による骨盤底の損傷は、その後の女性の活動能力やQOLに大きく影響します。骨格や筋肉の状態がピークになる25歳を、はるかにすぎてからの出産は、骨盤底について要注意です。

 

最近は、出産年齢が上がったことで、40歳前後での高齢出産はめずらしくなくなりました。高齢出産する方々の骨盤底を守るのは、むかしより重要になってきています。出産による骨盤底の損傷をへらすために本人ができることは、妊娠中の十分な体調管理、体重管理です。

 

今後、女性ヘルスケアの一環として、広く理解を高めていくことはとても大切なことなのです